もしかしてアニサキス?その「激痛」の正体と対処法
皆さま、こんにちは。なごやおなか恒川クリニック院長の恒川です。
徐々に暑くなってきており、バーベキューで新鮮な魚を焼いたり、海鮮居酒屋で美味しいお刺身を楽しんだりする機会が増えるのではないでしょうか。私も、旬の魚介類には目がなく、ついつい食べ過ぎてしまうことがあります。
しかし、この美味しい魚介類に潜む、知られざる「招かれざる客」がいるのをご存じでしょうか?そう、それが「アニサキス」です。
アニサキスって、どんな虫?
アニサキスは、魚介類に寄生する小さな線虫の一種です。サバ、イカ、サンマ、カツオ、サケ、イワシなど、私たちが普段よく食べる魚介類に幅広く生息しています。
魚が生きている間は、主に内臓にいますが、魚が死んでしまうと、時間とともに私たちの食べる「身(筋肉)」の部分に移動してくることがあるんです。
「もしかしてアニサキス?」こんな症状に要注意!
アニサキスが寄生した魚介類を生で食べてしまうと、体内で幼虫が胃や腸の壁に食い込み、さまざまな症状を引き起こします。これが、アニサキス症と呼ばれる食中毒です。
- 食後数時間~十数時間後に、突然、みぞおちの激しい痛みに襲われる
- 吐き気や嘔吐を伴う
- 下痢、腹部膨満感を感じることも
「これまで経験したことのない痛み」「のたうち回るような激痛」と表現される方も多く、救急車を呼ぶほどの事態になることも少なくありません。
アニサキス症かな?と思ったら、どうすればいいの?
Q1: アニサキス症の治療法は?
A1: 基本的に、内視鏡(胃カメラ)でアニサキスを摘出するのが最も確実な治療法です。アニサキスを摘出すると、多くの場合、劇的に症状が改善します。腸にアニサキスが食い込んだ場合は、対症療法で様子を見ることもありますが、場合によっては手術が必要になることもあります。
Q2: どこを受診すればいいの?
A2: みぞおちの激痛や吐き気、嘔吐など、アニサキス症が強く疑われる場合は、内視鏡検査が可能な消化器内科を受診することをお勧めします。
当院では、疑わしければ即日内視鏡検査を行うことができますのでご相談いただけたらと思います。
アニサキス症にかからないためにできること
アニサキス症は、その激しい症状から非常に恐ろしいものに感じられるかもしれません。しかし、適切な知識があれば、予防することは十分に可能です。
- しっかり加熱する!:アニサキスは70℃以上で加熱するか、中心部まで火を通すことで死滅します。焼く、煮る、揚げるなど、加熱調理は最も確実な予防法です。
- 冷凍する!:マイナス20℃で24時間以上冷凍することでも死滅します。ご家庭で魚を保存する際にも有効な方法です。
- 新鮮な魚を選び、内臓はすぐに取り除く!:アニサキスは、魚が生きている間は内臓にいることが多いです。鮮度が落ちると身に移動するので、購入したらできるだけ早く内臓を取り除きましょう。
- 目視で確認!:お刺身などを調理する際に、白くて透明な細い糸のようなものが見えたら、それはアニサキスかもしれません。取り除いてから食べるようにしましょう。
当院でのお話し
先日腹痛で来院され、胃カメラでアニサキスを認め摘出した患者様がおられました。日中の受診が難しい方でも、夕方にも胃カメラ検査を行うことができますので、魚介類を食べた後に異変を感じたら、一人で悩まず、どうぞお気軽に当院にご相談ください。
アニサキス症は、一度経験すると「もう二度と魚は食べたくない!」と思ってしまうほど辛いものです。しかし、正しい知識と予防法を知っていれば、過度に心配することはありません。
新鮮な魚介類は、私たちの食生活を豊かにしてくれる大切な食材です。予防策をしっかり実践して、安心・安全に美味しい魚介類を楽しんでくださいね。