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ヘリコバクターピロリ菌

1983年に、胃酸によって強酸性に保たれていた細菌などは生存できないと信じられていた胃の中からヘリコバクターピロリ菌が発見されました。
ピロリ菌は土壌や井戸水に存在していますが感染すると胃の粘膜に棲みつき毒素を出すことで胃に障害をきたし、胃がんや胃潰瘍などの原因となります。
日本人の感染率は、衛生状態の悪かった時代に生まれた中高年で70-80%、若年者で10-20%といわれています。
ピロリ菌にはワクチンなどの予防法はなく、ピロリ菌の感染が発見された際にピロリ菌の除菌を行うことによってがん化へのリスクを避けることができます。

主な症状

基本的に自覚症状がありません。
しかし、ピロリ菌感染が長期に渡ると胃の機能が大きく低下し、胃液が十分に分泌されなくなり、食欲不振や胃もたれ、胸焼け、ゲップなどの症状があらわれることがあります。

ピロリ菌の感染によって引き起こされる疾患としては、慢性胃炎、消化性潰瘍(胃潰瘍、十二指腸潰瘍)、胃がん、MALTリンパ腫、胃過形成性ポリープなどがあります。

原因とリスク因子

多くが幼少期(5歳くらいまで)での感染です。
井戸水を飲む、家族内での経口感染などが考えられています。

診断

ピロリ菌の検査方法には主に2種類あります。

  1. 胃カメラを用いて直接胃を調べる方法
  2. 胃カメラを用いず、血液、息、便から間接的にピロリ菌の有無を調べる方法
名古屋市のピロリ菌検査について
名古屋市内に居住地を有す20歳以上39歳以下の方

ピロリ菌抗体の血液検査(無料)

名古屋市内に居住地を有す40歳以上59歳以下の方

胃がんリスク検査(500円)
→ピロリ菌抗体の血液検査とペプシノゲン検査(ABC検査と同一)

※この検査が対象外の方もいらっしゃるので、名古屋市のホームページを確認されるか、医師にご相談ください。

治療

一次除菌療法

胃酸を抑える薬、2種類の抗菌薬の計3種類の薬を組み合わせて7日間服用する治療を実施しています。

二次除菌療法

1回目の除菌療法でピロリ菌が除菌できなかった場合は、別の抗菌薬を用いた治療を行います。

三次除菌療法

二次除菌が不成立、薬剤アレルギーなどで除菌が出来ない方が対象となります。
自由診療となりますが当院での治療は可能ですのでご相談ください。

ピロリ菌除菌で胃潰瘍、胃がんのリスクは低くなりますが、胃がんにならないわけではありません。
ピロリ菌がいたことをきっかけに定期的に胃のメンテナンスをしましょう。
年に1回の胃カメラによるチェックをおすすめします。

慢性胃炎(萎縮性胃炎)

慢性胃炎は、胃粘膜が傷害と再生を繰り返している状態です。
長期化することで、炎症の影響を受けて胃の粘膜が薄くなり脆弱していきます。
慢性胃炎を放置すると、胃がんに進行するリスクがありますので早期に治療することが望ましいです。

主な症状

基本的に自覚症状がありません。
しかし、長期に渡ると胃の機能が大きく低下し、胃液が十分に分泌されなくなり、食欲不振や胃もたれ、胸焼け、ゲップなどの症状があらわれることがあります。

原因とリスク因子

慢性胃炎のうち、約8割がヘリコバクターピロリ菌感染によるものです。
ピロリ菌が胃の粘膜を傷つけ、慢性胃炎を誘発し胃がんや胃潰瘍などの原因となります。

診断

胃カメラにより診断します。
胃の粘膜の状態を調べ、胃がんへ進行するリスクがないかを詳しく調べます。

治療

薬物療法

胃酸を抑える薬、胃粘膜を保護する薬などを使用します。

ピロリ菌検査・除菌治療

ピロリ菌の検査をして陽性反応が出た場合は、ピロリ菌を除菌する治療を行います。

生活習慣の改善

食べ過ぎ・飲み過ぎ、コーヒーや香辛料などの刺激物の過剰摂取などが原因となります。
食事内容を見直す必要があります。
正しい生活習慣を身に付けることで、胃炎の症状の改善はもちろん、再発防止を目指します。

急性胃粘膜病変

急激に発症する胃炎や胃潰瘍をまとめた概念です。

主な症状

みぞおちの痛み、どす黒い便(黒色便)、重篤な場合は血を吐いたりすることもあります。

原因とリスク因子

様々な原因によって発症しますが主に2つあります。

  1. ロキソニン、アスピリンなどの鎮痛薬や、抗菌薬、ステロイドなどの内服薬
  2. ヘリコバクターピロリ菌感染

他にはアニサキス、精神・肉体的ストレス、アルコールの過剰摂取、暴飲暴食などが挙げられます。

診断

まずは症状から判断します。
状況に応じ胃カメラ検査を行います。

治療

安静、絶食にして原因を除去することで短期間で治癒することがほとんどですが、胃酸を抑える薬、胃粘膜を保護する薬を使い、症状を緩和します。
症状が強い、症状が長期間続く、何度も繰り返すなどの場合は、他の病気の可能性がありますので、自己判断はせず診察を受けるようにしましょう。

胃ポリープ

胃粘膜の表面の組織にできるぽこっとしたできもののようなものです。
一般的な胃ポリープとしては、胃底腺ポリープ、過形成性ポリープがあります。
ピロリ菌感染の有無の判断にもつながることもあります。
また、特殊なものとして胃腺腫(良性)などがあります。

主な症状

自覚症状はありません。
過形成性ポリープの場合、同時に慢性胃炎を発症することがあるため、胃に不快な症状がみられる方は、胃炎による症状であるといえます。
他に貧血をきたすこともあります。

原因とリスク因子

胃底腺ポリープは、ピロリ菌の未感染の状態に発生します。
また胃薬を長期に飲んでいると、新たに発生したり、大きくなったりすることがあります。
過形成性ポリープはピロリ菌の感染によって発生することが多いです。

診断

胃カメラにて、胃内を直接観察します。
ポリープの見た目から、どの種類のポリープであるか判断することができます。
さらに、生検(組織を一部採取して病理で検査すること)によって、より正確な診断を行うことができます。

治療

胃底腺ポリープであれば基本的に経過観察となりますが、サイズの大きいものは治療対象となることもあります。
過形成性ポリープはピロリ菌感染の状態と考えられるのでまず除菌を行います。
サイズの大きい過形成性ポリープや一部の胃腺腫は、胃カメラで切除する場合もあります。
入院による治療となりますので関連病院へご紹介します。

アニサキス

アニサキス病とは胃や十二指腸などの中でアニサキスという寄生虫が悪さをする病気です。
サバ、イカ、カツオ、サンマ、サーモンなどの魚介類に潜んだアニサキスが胃や腸の壁に食いつくことで発症します。

主な症状

急激な腹痛、吐き気、嘔吐などがあります。
痛みは非常に強くなったり弱くなったりと波があることが多いです。

原因とリスク因子

魚介類の内臓に寄生している寄生虫なので、生もしくは加熱が不十分な状態で食べることで感染します。

診断

胃カメラでアニサキスの有無を確認します。

治療

胃アニサキスが疑われた場合は即日胃カメラで確認しアニサキスを摘出します。
胃以外の腸でアニサキスが疑われた場合は絶食、点滴などで経過をみることがあります。

機能性ディスペプシア

検査で明らかな異常がないにもかかわらず、慢性的なみぞおち辺りの痛みや胃もたれなどの上腹部症状を示す病気です。

主な症状

胃もたれ、胸やけ、みぞおちの痛み、満腹感(すぐ満腹になり食べられなくなる)などがあります。
日本人の約1割が自覚しているとも言われています。

原因とリスク因子

ストレスなどを誘因として、胃の運動機能低下(ものを食べても胃が拡がらない、食べ物をうまく十二指腸へ送り出せない)、胃の知覚過敏(過敏で胃が痛みを感じやすい状態)などの異常が起き、症状が起こっていると考えられています。
他にピロリ菌や自律神経、腸管神経系も関与していると言われています。

診断

似たような症状を示す疾患として胃潰瘍や逆流性食道炎、胃がんの初期段階などがあります。
そのため安易に診断名をつけて治療を行うのではなく、血液検査や胃カメラ、ピロリ菌検査、画像検査などを行い診断します。

治療

ストレスが誘因となるため生活習慣の改善が必要です。食生活、節酒、禁煙、適度な睡眠時間の確保など見直しましょう。
薬物療法としては、消化管運動改善薬、胃酸を抑える薬、漢方薬、ピロリ菌の除菌など行います。
他に抗うつ薬、抗不安薬などで治療することもあります。

個々の状態により治療法は様々ですので、当院ではしっかり話し合い相談しながらよりよい治療を考えていきます。

胃潰瘍

胃潰瘍とは、胃粘膜が胃液という強い酸の刺激によって、消化されてできた潰瘍で消化管出血の大きな原因の一つです。
本来、胃は塩酸やペプシンなどの胃液を分泌して、食べ物の消化を行っていますが、この胃液が何らかの原因で、粘膜をも溶かして(消化して)しまう状態です。
原因を除去しない限り再発しやすい疾患です。

主な症状

みぞおちあたりの痛み(食後が多い)、吐き気、嘔吐、食欲不振、腹部膨満感などがあります。
重篤なものだと、血を吐いたり(吐血)、 便に血が混じったり(下血)、どす黒い便(黒色便)を認めます。
潰瘍のできた場所の血管が破れるのが原因です。
黒色便を「タール便」と言いますが、そのまま気づかないこともあり、貧血になってやっと気付く場合も少なくありません。
大量に下血する場合は、関連病院へご紹介し、検査をする必要があります。

原因とリスク因子

ピロリ菌の感染

胃潰瘍の原因の8割以上がピロリ菌とされています。
ピロリ菌にかかると、まず、慢性胃炎となり、その一部が胃酸の作用で胃潰瘍になります。

痛み止めやステロイドなどの薬剤性

薬の服用で胃に負担がかかり胃潰瘍になることがあります。
例えば頭痛、腰痛、関節痛など痛みに対し使用するロキソニンなどのNSAIDS(非ステロイド系消炎鎮痛薬)は痛みを抑えてくれますが、胃腸の粘膜を荒らしてしまう副作用があり、胃潰瘍を引き起こすことがあります。
そういった場合、胃の負担が少ないカロナール(アセトアミノフェン)などの痛み止めを使用することがあります。

ストレス

イライラ、過労、睡眠不足、緊張、不安などからくる肉体的・精神的ストレスが胃潰瘍の原因となることがあります。
生活習慣の改善が必要です。

暴飲暴食、大量飲酒などの不摂生な食生活、喫煙

暴飲暴食、大量飲酒、寝る前に食事をとる、よく噛まないで早食いするなど、不摂生な食生活は胃に負担がかかってしまいます。
また、喫煙は胃粘膜の血流を低下させるため胃潰瘍を助長することがあります。

診断

胃カメラで直接確認します。

治療

薬物療法として、まずPPI(プロトンポンプ阻害薬)、P-CABといった胃酸を抑える薬が用いられます。
その他、胃粘膜を保護する薬などを併用します。
出血している場合は、内視鏡で止血を行います。
その後は再発予防の治療へうつっていきます。
非常に再発しやすい病気で、治療後症状が良くなったからと言って放置しておくと、ほとんどの方が再発すると言っても過言ではありません。
原因に沿い治療をしていきます。
ピロリ菌が原因の場合、除菌療法を行います。他食事療法・生活指導など行っていきます。

胃がん

胃の壁の内側をおおう粘膜の細胞が何らかの原因でがん細胞となり、無秩序に増えていくことにより発生します。
がんが大きくなるにしたがい、徐々に粘膜下層、固有筋層、漿膜へと外側に深く進んでいきます。
日本は欧米と比べ多いですが、検診の普及などによる早期発見・早期治療によって減少傾向にあります。

主な症状

早期はもちろん、進行しても無症状であることが多いです。
症状がある場合は、胸焼け、みぞおちの痛み、悪心・嘔吐、食思不振、体重減少、黒色便、貧血症状などを認めることがありますが、これらの症状は他の病気でも見られるため、症状だけで胃がんとは断定できません。

原因とリスク因子

胃がんの主な原因は、ピロリ菌感染です。
ピロリ菌に感染すると、胃粘膜が炎症を起こし慢性的に刺激を受け続けることで、がん化するリスクが高くなります。
またスキルス胃がんにも関与していると言われ、比較的若年の女性に発症しやすく、進行が早く予後が悪い恐ろしい病気です。
除菌をしましょう。
その他、喫煙、塩分過多、過度の飲酒・高カロリーな食生活なども原因となります。

診断

胃カメラを行い、胃の中を直接観察します。
胃がんの有無を確認したり、生検(組織を一部採取して病理で検査すること)をします。
他に血液検査で、胃がんの腫瘍マーカーや貧血の有無などを調べます。
胃がんの浸潤や転移の程度を調べるにはCT検査を行います。
CT検査で転移の評価が難しい場合、PET検査を追加で行う場合もあります。関連病院へご紹介します。

治療

早期であれば胃カメラでの治療となります。
進行の程度により外科的治療、薬物治療(化学療法)など考えていきます。
関連病院へご紹介します。

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